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  • 投稿日時:2025/04/01

    世界三大医学雑誌の一つBritish Medical Journalから

     

    慢性腰痛(3 か月以上)で癌性疼痛、感染症、炎症性関節炎以外については
    1.関節高周波アブレーション
    2.局所麻酔薬・ステロイドまたはその併用の硬膜外注射
    3.ステロイドの有無にかかわらず局所麻酔薬の筋肉内注射
    などを「やらないよう強く勧める」、つまり「やるな」というガイドラインが出ました。効果は確認できなかった一方リスクはあるから患者がお金払ってこういう治療を受けるべきではない、というガイドラインを発表し、同じく三大医学雑誌の一つであるJAMA(アメリカ医学会雑誌)もこのガイドラインを引用し、賛成しています。

    慢性の腰痛には上記のような治療は「やるな」というのが最新の医学常識になりそうです。おそらく多くの高齢者が日本ではこうした治療を整形外科で受けていると思いますが、最新の世界の常識は「そういうことは無効だしリスクはあるし金の無駄だからやめなさい」ということになりました。

  • 投稿日時:2025/03/30

    とある優秀な医師への返答。


    開業医って経営者だから、勤務医みたいな時間は無いの。時間の殆どは経営、つまりお金と人事に使うんだから。そんな中で地域医療を担う上で私が最低限選択したのがJAMA(アメリカ医学会雑誌)の論文を週に2本は読むことだった。JAMAって要するに日本内科学会雑誌みたいなものなんだ。だからアメリカで診療していなければ無意味な情報もたくさん載っている。だけどそのなかから「これは」と思う論文だけ拾って読むんです。たとえば「カテーテルアブレーションで心房細を正常化した後抗血栓薬を使うべきか否か」みたいな論文を読むんです。これはまさに開業医にとって重要な論文ですから。

  • 投稿日時:2025/03/29
    別の内科で糖尿病の治療を受けているが、発熱外来で当院に来たという人にHbA1cは?と訊いたら7台ですと。あなたはまだ40歳代なんだから7台ではマズいですねと言いながらお薬手帳を見るとボグリボースとリベルサスがでています。

    「これとこれ、飲み忘れるでしょう?」と聞いたら患者さん、照れくさそうに
    「はい、実はいつも飲み忘れて、大量に余ってるんですが主治医の先生には言えなくて」。

    ボグリボースは「毎食直前」、リベルサスは「朝起きてすぐ飲んで、その後30分は飲食禁止」です。こう言うのって、無理なんです。治験では有効性が確認できたんでしょうが、患者心理を無視してるんです。私が漢方薬を原則食後にするのも同じ理由で、食前なんてみんな忘れるからです。

    私はその患者さんに「この先生は薬の勉強はちゃんとしてるんでしょうが患者心理が分かってないんです。むしろこのメトホルミン250mgを500mgにして、これを治療のベースにするべきです」と教えてあげました。そうしたら患者さん、ちょっと困った顔をして、先生がそう言っていたと主治医に言っても良いですかと言うから

    「ええ良いですよ。私は何所の誰に恨まれたって、ちっとも構わないですから」と言ってあげました。

    飲めない薬は、効かないのです。
  • 投稿日時:2025/03/27
    AIが万能だと思っている人がいるとすれば、それは間違いです。


    AIは、人間が何か質問すると、それに答えます。AIは人間の質問に見合った答えを返してくるのです。

    つまり、馬鹿げた質問には馬鹿げた答えを返してくるし、漠然とした質問には漠然とした答えを返してきます。

    AIに「きちんとした答え」を求めるのであれば「きちんと質問する」事が必要です。Open qeustionではなくClosed qauestionでなければなりません。つまり、私はこれこれを知りたいが、その前提としてこういうデータがあり、こう言うデータがある。それを基にして考えられることを答えよ、とAIを「追い込まなければ」なりません。それにはそもそも、追い込めるだけのデータを揃える能力が必要なのです。

    逆に言うと、AIは誘導尋問にも引っかかるのです。つまり、AIの使い方を熟知した人が「AIにこのように答えさせたい」と考え、そのように質問すると、AIは見事に期待したような答えを出してきます。

    つまりAIは常に「質問に答える」のです。だから質問の仕方次第で、AIの答えは如何様にでも変わるのです。

    AI時代になった今、これを理解することは極めて重要です。
  • 投稿日時:2025/03/27
    職場でいやな奴がいて、と言う患者さんにいつも話すこと。

    四苦八苦って言うでしょ。あれはお釈迦さんが言ったんです。四苦というのは生老病死です。生まれ、老い、病を得て死ぬというのは人間の根本だが、全て自分の思うままにならない。だから苦しみなんです。


    ところがね、それにさらに四つ加えて八苦なんです。追加の四つというのは、「愛するものとは別れる苦しみ」、「憎むものと出会う苦しみ」、「求めるものほど得られない苦しみ」、そして「全てについて執着する、つまりしがみ付いてしまうとそれは苦しみになる」という事です。

    だけどね、こう言うことをブッダ、つまりお釈迦さんが言ったというのは、ブッダだってこう言うことに苦しんだって事だ。そうでしょ?自分が苦しんだからこそこう言う言葉が出てきた。

    ブッダって、悟ったことになってますよ。つまり一切の執着を捨てたと。ところがブッダが「この愛する人を失う」と苦しみ、逆に「こんな奴と付き合わなければならない」と苦しんだんです。さらに「何かを求めれば求めるほどそれは得られない」、「何かにしがみ付いたらそれは必ず自分を苦しめる」。これらは全部ブッダ本人が自分で苦しんだことなのです。

    ブッダは生まれついて以来悟り済ましていたわけじゃ無いんです。愛する人を失う一方、いやな奴につきまとわれ、悟りを求めて苦行してもさっぱり悟りを得られず、苦しんだんです。あなたや私が今苦しんでいるように、ブッダも苦しんだのです。

    まあ、そういうことです。
  • 投稿日時:2025/03/22

    あんまりクリニックの院長ブログにはふさわしくない文章かも知れませんが。

     

    実は私がこのクリニックの経営を引き受けた経緯はあまりにも馬鹿げた話だったんですが、それでもその時「ここで自分でやろう」と決めた理由が「独立したらもう一切世間の雑音とは縁を切る」ということでした。


    勤務医時代の方が今よりもずっと収入は多かったですが、しかし勤務医ということは従業員です。雇われ人なのです。そうすると、どこの大学、どこの病院で働いていても、そして自分がどんなに偉くなろうが、教授だろうが部長だろうが副院長だろうが、雇われ人には変わりありません。そしてどこに行っても、しばらくすると「事務長」がヒソっと私のところに来て、「先生、ちょっとこういうのは」と言って私のFBの投稿を差し出すのです。どこに行っても同じパターンなのです。本当に、嫌気がさしていたんです。それで、開業して独立したら一切そういうSNSなどの発言に目くじらを建てるような世間の声には耳を貸さないことにしました。


    零細クリニックとはいえ、開業してしまえば自分が自分の主(あるじ)です。「ちょっとこれは」と言ってくる「上」はいないんです。ついでにいくつか面倒な役職を持っていた学会も退会してしまいました。そういう学会も、同じことをしてくるからです。


    くだらないんです、奴らは。私にとってはクズなんです。クズどもに、もうこれ以上振り回される人生はやめると決めました。そういうわけで、税務署が私のSNSをどう見て何をチェックしようが、私は会計税務申告は全部会計士がいる税理事務所に任せているのですから、税務署が何を言ってこようが「それは税理士に聞いてください」というだけです。

     

    開業してから、患者さんや従業員が時々私に注意してくださることがあります。それはまさに、私やこのクリニックを思っての注意なのです。だから私はそういう言葉を真率に受け止めます。しかし組織というのは、基本的に「組織が大事」なのです。事務長というのはそういう組織を体現する人です。別に事務長本人が「これはちょっと」と思うのではありません。組織のトップが顔をしかめているのですが、私に言ってくるのは事務長だ、と言うだけです。ともかく、組織にとって一番大事なのはその組織であって、その構成員である個人じゃないです。それはよくよく知っておくべき事です。

  • 投稿日時:2025/03/21

    私が常日頃当院の患者にもスタッフにも言うことですが、「国の保険制度について、何故とか根拠はと言うようなことを考えてはいけません。そんなことを考え始めたら、誰でも頭がおかしくなります。国が決めることは、要するに常に訳が分からないのだと思いなさい。ただし、これほど訳が分からなくなった国は、もうそろそろ終わりだと私は思っていますけどね」。

  • 投稿日時:2025/03/20

    最近のJAMA(アメリカ医学会雑誌)という世界三大医学雑誌の一つに載った論文

    地域包括ケアは少なくとも認知症患者本人にもその介護者にとっても有益性はなかったという結果。

    研究の目的:医療制度に基づく認知症ケア、地域社会に基づく認知症ケア、通常の認知症ケアは、認知症患者とその介護者の臨床転帰において、どのような比較効果があるか?を研究した。

    研究方法と結果:患者と介護者の2176組を対象としたこの無作為化臨床試験では、18ヵ月間にわたる患者の行動症状および介護者の負担は、医療システムベースのケア介入と地域ベースのケア介入の間でも、積極的介入と通常のケアの間でも有意差は認められなかった。

    要するに:認知症ケアプログラムに関するこのランダム化臨床試験では、医療システムベースのケア介入群と地域ベースのケア介入群の間にも、積極的介入群と通常のケア対照群の間にも、患者の行動症状および介護者の負担に関して有意差は認められなかった。

    つまり日本政府が提唱している「地域包括ケア」は少なくとも認知症患者とその介助者にとっては無駄でしたってことです。

  • 投稿日時:2025/03/20
    先日20代の女性が、「数週間前からゲップが止まらなくなった」と言って来院した。診察中も絶えずゲップをしている。ある内科のクリニックで胃カメラを受けたが「異常なし」だった。それで漢方でどうにかならないかと言って当院を受診したのだ。

    腹を触ると、全体が緊満している。腹部レントゲンを撮ってその画像を見た瞬間、私は目が点になった。顕著な胃拡張と巨大結腸が併存し、要するに胃も腸も中は全部ガスなのだ。

    胃カメラで異常なしと言われたのは不思議ではない。なぜなら胃カメラにしろ大腸カメラにしろ、注射で胃腸の蠕動運動を止めてから検査する。胃腸がぐるぐる動いている状態では内部は観察出来ないからだ。しかしこの人の異常は、そうやって薬で蠕動運動を止めて胃の壁を観察しても、分からないものだった。何故なら蠕動運動そのものに異常があったのだから。例えこの人が大腸カメラを受けても結果は同じ「異常なし」だっただろう。

    数週間前からだというので、私はとりあえずこのような腸管の蠕動運動に異常を起こしうる糖尿病、神経変性疾患、自己免疫疾患について診察や検査、採血を行い、それらのどれにも該当しないことを確認したのち日赤の消化器内科に送った。あちらからも「胃拡張、巨大結腸を認めるのでこれから精査する」という返事が来た。

    この人になんらかの異常があるという事を発見するのに必要な検査は胃カメラでも大腸カメラでもなく、一枚の腹部レントゲンだった。その前に、患者の腹を触るべきだったのだが。

    しかし、患者の腹を触診する値段は0円で、腹部レントゲンは850円、胃カメラは11400円で大腸カメラは15500円だ。でもこの患者に必要だった検査は胃カメラでもなく大腸カメラでもなかった。腹部を触ってレントゲンを一枚撮ることだったのだ。

    なんだかねえ・・・。

     
  • 投稿日時:2025/03/19
    批判覚悟ではっきり言いますが、「検査は受けたくありません。薬だけ下さい」という患者と「風邪かアレルギーか分かりません。薬出します」というクリニックはお似合いですから、そういう患者はそういうクリニックに掛かってください。
    当院は「あなた方とは違うんです」。

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