内科、外科、上科、下科

2023/05/26

あゆみ野クリニックの1番の売りは漢方内科だが、診療科に、「内科」というのもある。それって何してるの?と言われたら、「何でもしてます」という事になる。

 


例えば昨日は農作業をしていたらなんだか分からない虫に刺されて腫れてきたが、皮膚科に電話したら休診だった、と言うので「じゃあすぐ来て下さい」と言った。来てみたら、発熱はない、頭痛はない。私が恐れたのは、ツツガムシ病だったのだ。この辺の農家では、時々ツツガムシにやられる。テトラサイクリン系の抗生物質を投与しなければいけない。しかし私は皮膚科ではないから、ツツガムシに刺された本物の患者を見たのは数例しかない。ないが、他の虫に刺されたのなら、まあ、言い方は悪いが「どうでもいい」のである。命に別状はないし、適当に軟膏を出しておけば治る。しかしツツガムシはそうは行かない。必ずテトラサイクリン系の抗生物質を投与しなければならない。

 


来た患者の患部を診ると、なんとも判断しがたい。中央に虫が刺した穴があって、その周り1センチが黒ずんでいる。ツツガムシ病の急性期に特徴的とされる頭痛や発熱はない。

 


しかし刺されたのは数十分前で、まだ一時間経っていないという。とすると、頭痛や発熱が起きていないこともあるだろう。えーい、ままよと私はテトラサイクリン系の抗生物質を出した。そして、「明日必ず皮膚科に行って下さい。私は皮膚科じゃないんだから」と言って帰した。この人は当院に掛かる前に、皮膚科に電話したらたまたま水曜が休みで、他はみんな「ウチは皮膚科じゃないから診れない」と断られたという。

 


こういうのを「ともかく診る」のがあゆみ野クリニックの「内科」である。だから本当の内科じゃない。「内科、外科、上科、下科」だ。今流行の言葉で言えば「総合診療部」だ。ともかく何かあって他が診てくれないならここに来なさい、と言うことである。


もちろん当院内科はそういうことばかりではなく、高血圧、糖尿病、高コレステロール血症など「本当の内科」もやっている。検診で「尿酸が高い」と指摘された人の尿酸値を診て、「これまで痛風発作はありますか」と聞き、「最近の尿酸治療の常識は痛風発作があれば治療するんです。発作を起こしたことがなければ、別に尿酸が10でも11でも薬は出さないのです」と言えるだけの勉強はしている。


糖尿病の人にも、きちんと日本糖尿病学会の最新のガイドラインを示して、「こういう合併症が起こるから糖尿は治療しなければいけないのです。その目標値はガイドラインではこのようになっています」と説明する。糖尿の治療をしている内科は石巻にいくらでもあるだろうが、外来に糖尿病学会の最新のガイドラインを常備して、「正常値はこれこれですが治療目標値はここです。なぜならこういう合併症を防がなくてはならないからです」とやる内科はそんなにないだろう。
内科はあゆみ野クリニックのダークホースだ。総合診療部であるとともに日常内科疾患に関してはきちんとした最新のガイドラインやエビデンスを患者に示して治療する。地味ではあるが、地域のクリニックとして実は一番大切な役目であると思っている。


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