石巻あゆみ野駅前にあるあゆみ野クリニックでは漢方内科・高齢者医療・心療内科・一般内科診療を行っております。*現在訪問診療の新規受付はしておりません。
犀(さい)の角
2024/04/09
友人が数人突然自分から離れてしまった。それで学校に行くと吐き気がするという中学生に。
これは非常に古い仏典だ。仏教はインドで生まれたものだが、インドの犀は角が一つなんだ。それをイメージしているんだがね。
あらゆる生きものに対して暴力を加えることなく、あらゆる生きもののいずれをも悩ますことなく、また子を欲するなかれ。況(いわん)や朋友(ほうゆう)をや。犀(さい)の角のようにただ独り歩め。
交わりをしたならば愛情が生じる。愛情にしたがってこの苦しみが起こる。愛情から禍い(わざわい)の生じることを観察して、犀の角のようにただ独り歩め。
朋友・親友に憐れみをかけ、心がほだされると、おのが利を失う。親しみにはこの恐れのあることを観察して、犀の角のようにただ独り歩め。
もしも汝が、<賢明で協同し行儀正しい明敏な同伴者>を得たならば、あらゆる危難にうち勝ち、こころ喜び、気をおちつかせて、かれとともに歩め。
つまり、その友人たちがあなたから離れてしまったということは、その人たちはあなたの本当の友達ではなかったということだ。だからそういう人々に憐れみを掛け、心がほだされると、自分が苦しむ。そういう人は相手にせず、自分をしっかり保っていなさい。自分をしっかり保っていれば、いつかはあなたにとって本当に大切な友人と出会うだろう。そういう人は、一生大切にしなさい。そうでなければ、自分をしっかり保っていればそれでよろしい。
中学生は頷いた。治療は終了した。