緑茶の効能

2024/09/01

緑茶は、生薬としては「清熱薬」です。熱を冷ます。ツムラのエキスでは、川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)に入っています。


川芎茶調散は軽い風邪で微熱気味の時に使うのだそうですが、実は私は一回も処方したことがありません。軽い風邪気味なら、桂枝湯も香蘇散もあります。少し咳が出るなら参蘇飲でも良いでしょう。どうしてもこの人は川芎茶調散だという患者は、あまりいないのです。


清熱薬として使うお茶は,必ず緑茶です。ウーロン茶でも紅茶でもありません。


ところがついさっき、私は用事で街に出て、この残暑などとは到底呼べない猛暑の中、ちょっと商店街にあったお茶屋に入って茶を一杯所望しました。


冷たい緑茶が一杯供され、それを飲んだ途端、私は汗と暑苦しさがスッと退くのを覚えたのです。なるほど、これが緑茶の清熱か、と納得しました。


緑茶が清熱薬だというのは、おそらくこういう経験から出たのでしょう。これは冷たいウーロン茶でも紅茶でも経験出来ません。冷たい水でも無い。やはり、冷たい緑茶なのです。しかも不思議なことに、ペットボトルの緑茶を冷蔵庫で冷やしても、こんな「すっと汗が引く」感覚は起きません。無論ペットボトルの緑茶だって水分は補えますから、当院にはペットボトルのお茶、ウーロン茶、お水を常備しており、待ち時間が一時間を超えた人は必ずこうしたものを配るようにしています。しかしこの、淹れ立ての緑茶を冷やしたものを一杯、と言うのは、格別です。


つまり緑茶の清熱作用というのは、実際に発熱しているとき解熱剤になる、と言うことではないようです。コロナで38℃の熱がある人に冷たい緑茶を飲ませたって、一瞬ほっとするかも知れませんが熱は下がりません。しかし、こう言うめちゃくちゃ暑い日にそっと冷たい緑茶を一杯出されると、それをゴクリと飲んだ瞬間、すっと汗が引くのです。


今日は、緑茶という生薬の薬効を身をもって体感しました。

PAGE TOP