伝統的和食は身体によくない

2024/11/06

「日本食・和食は健康によい」というのは、何故か世界常識になりつつあります。しかし純然たる日本食は、決して健康的な食習慣ではありません。


純然たる日本食しか食べないとしたら、少なくともビタミンB群、鉄、亜鉛、必須アミノ酸が決定的に不足します。しかも、塩分は過剰になります。

 

ビタミンB群については明治時代の「脚気論争」が有名です。つまり、白米しか食わなければ日本食ではビタミンB群は摂取出来ないから、脚気になります。脚気って最近の若い医者は殆どみたことが無いでしょうが、今でもアル中で酒だけ飲んで食事はほとんど摂らないという人は脚気になります。脚気は酷くなると脚気心という、一種の心不全を起こします。この時点で「これは脚気心だ」と気づかず、単に普通の心不全に対する治療である利尿剤やカテコールアミンによる治療だけをしても、当然治りません。根本原因がビタミンB群、特にB1欠乏ですから、ビタミンB1を補充しなければ脚気心は治らないのです。


米ぬかにはビタミンB群が含まれているので、玄米を食えばビタミンB群は補えますが、充分なビタミンB群を取れるほどの玄米というものは、極めて食べ辛(ずら)いものです。玄米を食べればすぐ分かりますが、あれは口の中でもそもそして、消化も悪く、腹は張るし、要するに食べにくいんです。だから、ビタミンB群が充分に摂れるほど毎日玄米を食うというのは、まず本人が根を上げます。白米に少し玄米を加える程度なら良いでしょうが。


さらに亜鉛や鉄も、伝統的和食では不足します。亜鉛は日本の食材では牡蠣に多く含まれていますが、牡蠣を毎日食えと言われたら多くの人は尻込みするでしょう。ほうれん草にも亜鉛や鉄はたくさん含まれていますが、ほうれん草はそもそも非常に吸収効率が悪いから、和食のようにおひたしだの味噌汁の具にしても、殆ど吸収されず、うんこになって出ていきます。もしどうしてもほうれん草を消化吸収したければ、最低でもインド料理の「サグ」のようにペースト状にするしかありません。あのぐらいペースト状にすれば、ほうれん草もある程度は吸収出来ますが、和食に出てくるようなほうれん草は、殆ど吸収されず、うんこになるだけです。


鉄分補充にもビタミンB群も、肉を食うべきなのです。赤身の肉にはビタミンB群が豊富に含まれています。また本来肉を食う連中は、動物の血も食べるし、レバーも日常的に食べます。レバーは肉食が普通の社会では当たり前に食べますが、日本人は極たまにしか食べません。また動物の血は、ヨーロッパでは料理に混ぜ込んで食べるし、アジアではかんてん状にして食べます。だからああいう地域では「鉄欠乏貧血」なんて言う疾患はありません。だって日常的に極めて吸収効率がよい方法で鉄分を摂っているのですから。なお「鉄鍋を使えば良い」という人がいますが、日本に於ける加熱食器、要するに煮炊きの道具は殆ど土鍋などの「土器」です。鉄板焼きというのは稀では無いけど、あれは古来からのものではないです。明治時代肉食が広まったことにつれて普及したのです。

 

かつ、和食の調味料はあまりにも塩分に偏りすぎています。スパイスをほとんど使わない。だから塩、醤油、味噌など、あらゆる調味料が要するに塩分です。だから和食はどうしても塩分過剰になり、これは高血圧を引き起こします。精製塩はよくないが自然塩は良いなんてのは、何の根拠もない「トンデモ」です。どんな塩でも要するに基本的な成分は塩、つまりNaClですから、摂りすぎれば高血圧になります。それは自然塩でも同じです。


要するに、「日本食が健康によい」というのは、日頃日本食を摂っていない人々がある程度日本食を取り入れると良いですよ、と言うことです。日本食・和食そのものは、ビタミンBも亜鉛も鉄分も足らず、なおかつ塩分過剰ですから、決してよい食習慣ではありません。


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