在宅診療・在宅介護の裏にあるもの

2024/11/10

実は「介護保険を基にした在宅医療・介護」という制度は、「イエ」という価値観を基にして成立したものでした。訪問診療に国が保険点数を付けるようになったのが1980年代です。それは徐々に拡大されてきました。しかしそう言う流れの背景には「お嫁さん」がいたのです。当時はお嫁さんが義父母の介護をしていました。つまり国は「ほう、ここに人件費0の介護者がいる」と考えついたのです。だから施設介護より安上がりだとね。


国が何か医療介護福祉の分野で何かを始めるとき、その本音は常に「安上がりかどうか」なのです。当時は「お嫁さん」という人件費0の介護者がいたからそういうそろばん勘定になったのですが、今はいません。だから国は今年から一気に在宅関係の点数を減らしました。人件費0のお嫁さんがいなくなった以上、在宅医療介護は不経済、と言うわけです。
つまり、嫁が夫の父母の介護をするのは当たり前という常識の元に始まったのが在宅というもので、それが消滅した今、在宅医療介護看護そのものの価値も否定されつつあります。価値が否定されつつあるというのは語弊がありますが、少なくとも「安上がりかどうか」しか評価基準が存在しない公的保険の世界では「無駄だ」という評価に変わってきているのです。無論、住み慣れた家で最後まで生きたいという人はいますが、今後は「それならそれは自費でどうぞ」になっていくのでしょう。いやな話ですが。


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