「それは大変ですねえ」

2024/12/12

私は東北大の准教授だった頃、度々OSCHE、つまり臨床修練に出る手前で行われる臨床実技試験で医療面接の審査官をやらされました。漢方内科だから医療面接は出来ると思われたのか、漢方医なんかどうせ医療面接ぐらいしか出来ないだろうと思われたのか知りませんが。


嗤うべきは、「それは大変ですねえ」という場面があることです。実際の臨床では、患者の苦悩にどう向き合うかは、極めて長年の人生修養を要します。単に医学知識を学んだだけで出来るものではありません。その医者自身が人生においてどれだけ辛酸を舐めたかで自然に変わるものです。しかしOSCHEでは「それは大変ですねえ」と言うべきタイミングが決まっており、予習をした学生は必ずそのタイミングで「それは大変ですねえ」と言います。苦笑いを禁じ得ないのですが、試験は試験ですから、「そのタイミングでそれは大変ですねえと言ったかどうか」で採点するのです。極めて馬鹿馬鹿しいんですけど。


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