医者も患者も信用してはいけないという話

2024/12/18

今日初診の70代男性。主訴は頭痛。


一週間ほど前から頭痛がする。頭痛がするからあゆみ野クリニックから線路を挟んですぐのとある病院の脳外科に掛かった。まあこう言えば分かっちゃいますから正直に言いますが、仙石病院の脳外科を受診しました。


仙石病院脳外科は脳のMRIをやり、採血諸々検査しましたが「異常なし」と言ってその人を帰したそうです。それでその人は困ったのですが、たまたまその人の奥さんを以前私が肺炎と診断して日赤に紹介して治ったので、奥さんが「あゆみ野クリニックに行け」といい、ここに来たそうです。


その人の頭痛の原因は、私より先に当院看護リーダーが診断を付けていました。だって看護リーダーは「風に当たると頭皮がピリピリするそうです」と言ってその人のファイルを私に廻してきたのですから。


無論、診断するためにMRIは必要ありません。その人の頭皮を覧ればよいだけでした。帯状疱疹という診断は、即座に付いたのです。


しかしこの話には尾ひれが付きます。その人曰わく、自分はなにも病気はない、なんの薬も飲んでいないというのです。


「健診は受けていますか?」「受けてないよ」。


こう言う人は、危ないのです。帯状疱疹は、その人の免疫力が下がっているときに起きます。ところがその人は何も病気もなく、薬も飲んでいない、健診すら受けていないと。



こう言う人は、特に高齢者は、危ないのです。だから私はすぐに一般的な健診に該当するような検査をやりました。検査病名は「2型糖尿病疑い」です。なぜなら全く医学フォローを受けていない人が帯状疱疹になったということは、その人の免疫力は低下しているという事であって、免疫機能が低下する代表的な疾患は糖尿病ですから。


一式検査でやった胸部レントゲンを覧て、私はその人に「あんた日赤に掛かってるでしょ?」と訊きました。そうしたらその人、「うん、半年ごとに日赤で診てもらってる」と言うんです。


まあその、患者の言葉なんか、一言も信用してはいけないという、その典型です。病名を明かすとまずいから言いませんが、その人は半年ごとに日赤呼吸器内科が肺のCTをやってfollowしていたのです。このロートルの医者がレントゲン一枚覧てすぐに「あんた日赤の呼吸器科に掛かってるでしょ」と言えるほどの疾患でした。


帯状疱疹を診断出来なかった仙石病院の脳外科も脳外科ですが、患者本人も呆れ果てたものです。持病はありません、自治体の健診も受けていません・・・。



いやあんた、これ違うから、って話です。
 

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