介護施設での看取りについて

2024/12/28

先日、あるサービス付き高齢者住宅(サ高住)に入所している90過ぎの高齢者を緊急往診してその場から救急搬送した。
実はその患者さんのご家族は延命など全く希望していなかった。その方はたしかにある疾患にかかったが、単にいつもより活気がなくなっただけで、「このまま静かにお看取りしてもよい」状態だった。では何故その人を救急搬送せざるを得なかったかと言うと、そのサ高住の現場責任者が「ここで看取りをしたことはないし、無理です」とはっきり断ったからだ。
サ高住は本来から言えば、終の棲家の筈だ。終の棲家であれば、患者(利用者)はそこで亡くなっても良い。だからそこの現場責任者が看取りを拒否したことは、ある面からすれば理不尽だ。


しかし一方、私はそこに何回も訪問診療しており、また長年高齢者医療畑を歩いてきた人間だから、「ここのこの人員配置では、たしかにここでの看取りは無理だ」という事も分かった。


つまり、経営法人レベルでいくら「お看取りも出来ます」と言っても、現場の状況は不可能だという事だ。それが分かったから私は救急搬送した。状況は全て搬送先に説明した。


あけすけに言うが、医療保険や介護保険など、公的保険で運用されている施設で看取りなんか、期待しては行けない。
そんな人員配置をする金なんか無いんだから。


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