石巻あゆみ野駅前にあるあゆみ野クリニックでは漢方内科・高齢者医療・心療内科・一般内科診療を行っております。*現在訪問診療の新規受付はしておりません。
認知症・フレイルについて
2025/02/15
歳を取ると老人は次第に心身が弱るという現象を、欧米人はFrailty(ふれいりてぃ)と呼ぶ。日本人はこれを日本語に翻訳しようとしたが、老衰とかいうとなんだか語弊が悪いという話になり、結局翻訳出来ずに「フレイル」になった。
しかし中国人はそうした言葉遊び・言葉弄りはしないから、frailityは単純に「衰弱」と翻訳した。ちなみにdementiaは今日本では「認知症」と言うが、その結果「あの人認知だから」「あのお婆さん認知入ってるから」と、完全に意味不明な表現が広まっている。しかし中国では元々痴も呆も2千年以上昔から使われてきた文字であり、その二つの文字を組み合わせて「痴呆」という病態概念を初めて提出したのが16世紀半ばの大著「景岳全書」を表した張景岳だ。ここで張景岳が記述しているのは、概ねストレスなど後天的な理由による精神錯乱だが、ともかく「痴呆」という用語は張景岳に始まる。
このように、漢字の母国中国では、一つ一つの言葉の「重み」が日本とは全く違う。日本語にとって漢字は要するに「借り物」に過ぎないが、中国人にとっては「我らが文字」であり、一つ一つの言葉に長い歴史や先人の営みがある。従って彼らは痴呆を認知症と言い換えるなどという愚かなことはやらないのだ。