下痢嘔吐、つまり食あたりの話

2025/03/06

これは以前も書きましたが、大事なので何回も書きます。

海産物にあたった下痢嘔吐、つまり食あたりは水飲んで下痢すれば治ります。下痢止めは使うな、それだけです。

しかし、ユッケとか生焼けの肉とか、肉が原因と疑われる食あたりは要注意なのです、基本的に、ユッケのような生肉を日本人は食べてはいけません。生肉にはいくら新鮮であっても、あるいは新鮮なほど、なんらかの細菌がいます。アジア大陸や、日本でも九州の人々などは昔から馬刺し、馬のレバーの刺身などを食い、何の問題もないのですが、それは彼らが代々そう言うものを喰って、そこに存在する細菌に適切に対応する能力を進化論的に身につけているからです。そうでない土地の人が馬刺しやユッケを食べたら、ただでは済まないのです。

石巻は漁港の町ですから、土地の人は海産物は食べ慣れています。もっともいくら食べ慣れていてもアニサキスには酷い目に遭いますが、その他の「感染性胃腸炎」にはある程度対応能力があります。しかし肉の感染症には、石巻の人は極めて弱いのです。生焼けの肉を食った、焼き肉屋でユッケを食ったなんて言う人の便培養をすると、コレラとかO157のような、びっくり仰天する細菌が出てきます。だから当院は、食あたりの原因がどうも魚介類だと診たときはやりませんが、肉が疑われるときは必ず便培養をやります。便培養は、男性患者は私がやりますが、女性患者は女性看護師がやります。なぜなら患者さんに尻を出して貰い、麻酔薬のゼリーを塗った後肛門に綿棒を突っ込むからです。

そういうのは、患者もいやでしょうがこちらも敢えてやりたい検査ではありません。しかし「肉が感染源」と疑ったときは、絶対に必要な検査です。本当に、とんでもない感染源が見つかり、石巻保健所を巻き込んで大騒動になることすらあるからです。

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