必要な検査はなんだったか

2025/03/20

先日20代の女性が、「数週間前からゲップが止まらなくなった」と言って来院した。診察中も絶えずゲップをしている。ある内科のクリニックで胃カメラを受けたが「異常なし」だった。それで漢方でどうにかならないかと言って当院を受診したのだ。

腹を触ると、全体が緊満している。腹部レントゲンを撮ってその画像を見た瞬間、私は目が点になった。顕著な胃拡張と巨大結腸が併存し、要するに胃も腸も中は全部ガスなのだ。

胃カメラで異常なしと言われたのは不思議ではない。なぜなら胃カメラにしろ大腸カメラにしろ、注射で胃腸の蠕動運動を止めてから検査する。胃腸がぐるぐる動いている状態では内部は観察出来ないからだ。しかしこの人の異常は、そうやって薬で蠕動運動を止めて胃の壁を観察しても、分からないものだった。何故なら蠕動運動そのものに異常があったのだから。例えこの人が大腸カメラを受けても結果は同じ「異常なし」だっただろう。

数週間前からだというので、私はとりあえずこのような腸管の蠕動運動に異常を起こしうる糖尿病、神経変性疾患、自己免疫疾患について診察や検査、採血を行い、それらのどれにも該当しないことを確認したのち日赤の消化器内科に送った。あちらからも「胃拡張、巨大結腸を認めるのでこれから精査する」という返事が来た。

この人になんらかの異常があるという事を発見するのに必要な検査は胃カメラでも大腸カメラでもなく、一枚の腹部レントゲンだった。その前に、患者の腹を触るべきだったのだが。

しかし、患者の腹を触診する値段は0円で、腹部レントゲンは850円、胃カメラは11400円で大腸カメラは15500円だ。でもこの患者に必要だった検査は胃カメラでもなく大腸カメラでもなかった。腹部を触ってレントゲンを一枚撮ることだったのだ。

なんだかねえ・・・。

 

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